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4月のお別れ。

4月…
本当なら何もかもが新芽のように、
初々しく爽やかに見えて、
心も踊るそんな季節なのだけれど、
大地は大きく揺れ、
熊本を中心にまたもや大変な事態になってしまいました。
被災された方、そしていまだ避難されている皆さまには
心よりお見舞いを申し上げます。

人生の中でまさか…という事は本当に起きるものなんですよね。
私個人としても4月に入って、
とても悲しい事が有りました。

ここからは私の回想録的にもなるかもしれません。
長いようでしたらスルーして下さい。

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9年目に入りましたラジオ番組
「かみつれ雑貨店」のプロデューサーの原口薫さんが急遽されたのです。
その日は丁度「かみつれ雑貨店」の収録の日だったのですが、
時間近くなっても来ないので、
ご家族に連絡した所、ベッドの中で眠るように亡くなっていたそうです。
心臓の持病が悪さしたのかもしれません。
しかし長い闘病の末というのでもなく、
前日の晩まで元気で
辛い思いもしないで旅立った事を救いに思いたいです。
でもあまりに突然なので残された私達は、
なかなか受け止められないまま、
この4月を浮遊しているような感覚でした。


亡くなってから知る事も多くて、
その存在の大きさに驚かされる事も多々…

最後の30年(もっとかな?)ラジオ制作者としての原口さんでしたが、
その昔は音楽業界にもおられました。
作曲家の鈴木キサブローさんのお話では、
ユーミンさんのデビューライブの時、
緊張しないように原口さんは見える所に居てほしいと言われ、
客席から死角のピアノの陰に隠れていた…と。
そんな事も有ったようです。

葬儀の参列者の数が物語るほど、
たくさんの方々に慕われていました。

私にとっても恩人であり、
マネージャーの言葉を借りれば、
私達にとって「一番歳の離れた友人」でもありました。

特に忘れられないのは、
CD発売もしていなかった「OMOIYARIのうた」を
「ラジオで流して沢山の人に聞いてもらうべきだよ。
合唱したいって思う人には、
資料を送ってあげるから」と言って、
無償でCD-Rと譜面をコピーして皆さんに送ってくれた事です。
感謝してもしきれません。
そのお陰で現在のOMOIYARI音楽会の活動に繋がって行くわけで、
いわば私と「OMOIYARIのうた」の恩人とも言えるのです。

ご葬儀はラジオマンらしく、
原口さんを送る特別番組仕立てで行われました。
参列者の献花の間、
寝る前に必ず聞いてくれていたという
Camomileの曲が流れ、
参列者から原口さんへのメッセージが。
みなさんそれぞれに涙と共に
溢れる想いを口にされていました。


本業以外に、民生委員、保育室、子供の遊び場、高齢者や障害者の居場所作り、
などなど…たくさんのボランティアをされていたので、
最後のお見送りには、
まさに原口さんのテーマソングとして、
「OMOIYARIのうた」を選んで戴きました。


原口さんは国内外問わず、
よくライブにもついて来てくれました。
亡くなる2週間前の静岡県藤枝でのライブが最後でした。
サイン即売会では沢山の方が並んでくれたのですが、


原口さんはどんな人が何を買って行かれたか、
全部写真に撮ったよ〜って嬉しそうに言ってくれました。
その写真は見ないままですが。


主催のひだまり助宗倶楽部の方達は、
本番では「飲んじゃってダンサーズ」に変身して、
ステージで盛り上げてくれました。
アンコールではステージに上がりたい方はどなたでも〜!
と客席に呼び掛け、お子さんから大人まで一緒に踊りました。
原口さんは「本当は上がりたくってしょうがなかった」
らしく、打上げの最後に皆んなで踊った時のビデオを観ると、
1番ノリノリなのが可笑しくて仕方ありません。
帰りには「楽しかった〜、幸せだね〜」と嬉しそうに
何度も言っていました。


静岡の翌々日が「かみつれ雑貨店」の収録で、
その後に皆んなで老舗のふぐ屋さんで、
原口さんの70歳のお誕生日会をしました。
昨年初めて皆んなで「たまには贅沢しよう〜」って
食べに行ったふぐ屋さんでした。
原口さんがまた行きたいと言ったのがきっかけです。
この日も「いや〜美味しいね〜、幸せだね〜」としみじみ。
この口癖のような原口さんの幸せの言葉を聞く度に、
感染したように、いつも幸せな気持ちになりました。

結局、
原口さんとはこの日が最後です。
お誕生日会が最後なんてね、出来過ぎですよね。


人に限らず命がこの世から旅立つ頃って、
あとから振り返ると、
些細なところでいつもと違う何かが、
例えば言葉や、表情や、行動、選びとるもの…
そういう中にメッセージがあるのかなって思います。
父や母の時は月日が流れ過ぎて思い出せないけど、
ねこさんの時は色々あったし。

そして原口さんが立ち合った最後の収録の2週分が、
今週(26日の火曜日まで)と来週(5/1〜)に流れます。

原口さんには色々な顔があったと言いましたが、
その昔、原 真紀 という名前で作詞家もされていました。
昨年「ステージ シンガー」という曲を
香西かおりさんがカヴァーされ、
アルバムのタイトルにもなっています。
私はふとそれを思い出し、番組で流したいと選びました。
原口さん最後の回で、
原口さんの曲を選ぶってなんというタイミング?

今週選んでいる朗読も 星野富弘さんの「 別れ」
という詩で、亡くなったお父様に、
幽霊でもいいから会いたい…というような詩です。
なんでこんな時期に選んだのか?
3月の私に戻って理由を尋ねたい気がします。

(ちなみに短縮バージョンでは流れません)

そしておむすび食堂のコーナーは
原口さんが楽しんだ、
藤枝ひだまり助宗倶楽部のライブのお話です。
(これも不思議です)

いつも意味のわからないおやじギャグばっかり言ってたけど、
最後に幾つか洒落た冗談を残して旅立ったのかな?
泣いていいのか、笑ったらいいのか、
もうわかんないよ〜!

お葬儀で皆さんが「本当に温かみのある番組作りをする人だった」
と仰っていました。
お喋りが苦手な私に原口さんからラジオ番組を作らない?
と言って戴いた時に、これならやれるかもしれない。
と思った理由は、やはりリスナーさんを大事にする思いと、
喋り手と同じ目線で作って行くサポート体制だったからと思います。
そんな安心感の中で自然と自分の体温でお喋りができたのかなと思います。
気が付いたら9年目なんて…

「肉体は消えても精神は消えない」
言葉でわかっていても
実体験でこんなに深く沁みる事は有りませんでした。

これからは残されたスタッフのりょうくん(原口さんの長男)と、
その精神を大切に番組作りをして行きたいと思っています。

原口さんが皆んなによく言ってました。
「夢を語ろうよ」って。
沢山の夢があり過ぎて、「原口さん、それは無理〜!」
って制した事もあったけど、
いなくなってから分かりましたよ。
原口さんの語る夢は、
ちっとも無理とは思っていなかったものなんですね。

人と人を繋ぐ名人でもありました。

今、身近にいる人もそうですし、
ラジオを通して繋いで戴いたリスナーさんも沢山。

原口さんから戴いた宝物はいっぱいです。
まさにそれぞれに原口薫の精神が宿っています。

りょうくんや他のスタッフさんと一緒に
原口さんを目標に、
そしていつか超えられるように力を合わせてやって行きますね。
でも道に迷った時は
あちらの世界からおやじギャグと共にヒントを送って下さいね。

原口さん、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

そして皆さん、
失ってみると日常のひとコマ、ひとコマが
どれだけ愛おしく、大切なものか
気付く時がありますよね。
今まさに私はそんな思いです。

ありふれた日常から、
大事なものを確認する、
「かみつれ雑貨店」はこれからもそんな雑貨店でありたいと思います。
今後もどうぞよろしくお願いします。

文章の間に写真が上手く入りませんでしたので、
最後に載せておきます。


沢山の方が並んでくれたサイン会
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アンコールで 「飲んじゃって…」
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打上げで大盛り上がり!私の背後で原口さんも両手広げてます 笑!

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昨年行ったふぐ屋さん。今年はなぜか写真一枚も撮ってない。

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伊豆大島にて 2012年頃かな。

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感謝。

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コメント

私は,原口薫さんを存じ上げませんが,かみつれ雑貨店のプロデューサーであり,OMOIYARIのうた,ひいてはOMOIYARI音楽会の恩人となれば,無関係なはずはありません。
直前まで元気だった人が,急にいなくなるって,本当に寂しく,悲しいことですね。
先の東日本大震災では,そして最近の熊本地震でも,そういうことが,きっとたくさん生じているのですね。

投稿: きょうのすけくまちゃん | 2016年4月25日 (月) 15時23分

今年は他にプリンスの訃報もあったりといつもより悲しいニュース多いですね

投稿: エリー | 2016年4月25日 (月) 21時36分

 初めましてこんにちわ。久々に人のブログを読んで感動しました。思いやりの歌もかみつれ雑貨店もすばらしいスタッフの皆さんに支えられているんですね、もちろん恵美さんも。何回かライブに行きましたが、人をしあわせにさせる仕事ができるなんて幸せです。

投稿: こもれび | 2016年4月26日 (火) 00時34分

「OMOIYARIのうた」のCD配布には原口さんの強い思いが込められていたのですね。感謝と同時にご冥福を祈ります。

投稿: やまちん | 2016年4月26日 (火) 09時13分

 藤枝のOMOIYARI音楽会、原口さんに大変喜んでいただき嬉しかったです。初対面の打合せ時から話が盛り上がりかつ、今後の交流会まで話が及んでいたんですよね。メールの交換が始まったばかりの突然の訃報で本当に驚きました。関本さんから、ユニフォームも一緒に送っていただいたと聞き及び、多分あちら着てくれるでしょうね・・・。恵美さんのメッセージを読んで、本当に優しくて素晴らしい人という感想です。人生どこで終わるかわかりません。年齢に関係なく、自分に素直な日々を送りたいものです。
 4月末・5月初のカミツレ雑貨店。必ず聞きます。ひだまり倶楽部員にも必ず伝えます。さて、当地では新茶の季節になりました。山々も急に笑い出しました。浜松の往復には明るい山々がご覧いただけるでしょう。(夜なら無理かな)

投稿: まさじ | 2016年4月26日 (火) 20時46分

原口さんのご冥福をお祈り申し上げます!
私にも人柄の素晴らしさを感じさせて頂いた思い出が有ります。カミツレ雑貨店にコメントし恵美さんに紹介して頂いた放送部分ををどうしても記録に残したくお願いしたところ快くCDにして送ってくれました。感激して礼状を出しました。その時のCD送り主の名前が薫なので女性かと思っていたのですが後日、高齢の男性と知りびっくり、思わず噴き出した事が。そのような人柄が素晴らしい番組を作りだしているのかなと!

投稿: Ao. | 2016年5月 7日 (土) 23時16分

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